メタルワンの中国におけるステンレス冷延薄板コイルセンター事業が拡大基調だ。06年6月操業の美達王精密金属(蘇州)が華東の日系デジタル家電・IT関連ユーザーを中心に懸命な食い込みを図る一方で、華南では08年4月に美達王板和(東莞)が稼動を開始する。先行する美達王板和香港が深センの加工センターと連携して築いた小口販売のビジネスモデルを深化させて、日本のコイルセンターと同水準の品質で精密ステンレス冷薄を即納供給し、地場密着型サービスの提供と差別化による収益強化を目指していく。
「美達王精密金属(蘇州)」(蘇州工業園区内、董事長兼総経理・原田直行氏)の加工販売量は現在月間200㌧。進出計画時は平均板厚を0.7㍉と見ていたが、精密薄物加工のニーズを受けて0.3~0.4㍉が中心になっている。同社のスリッターは650㍉幅(0.1~2.0㍉)、350㍉幅(50μ~0.6㍉)の2基体制で、2基ともMDロールを付帯するなど精密加工が特徴で、比較的厚めの2B材でも表面肌などの高品質を実現できる。月間500㌧を目指す拡販策では、華等地区における高品質のばね材分野でのシェア拡大とともに、厚めのサイズの受注拡大も一つのポイントになりそうだ。
収益面では、ニッケル原料価格などの影響で変動しやすい市況への対応に加えて、汎用材との価格比較が難題だ。汎用材を月間数万㌧も加工するコイルセンターとの直接コスト比較では太刀打ちは出来ない。小回りが利いて精密加工ができる特徴をいかに適切に代価に反映するか。ステンレスの商品価値や商品特性を十分理解しないユーザーもまだ多いだけに、市場に対する情報発信も重要だ。
商社系コイルセンターの強みは調達面でも発揮できる。「ユーザーが必要とする材料を適切に供給する」(原田総経理)ことが基本であり、メタルワンのネットワークは大きな武器になる。蘇州工業園区には工業区専用の税関もあり、日々コンタクトを取る中で通関業務に精通するのも同社の強み。案件によっては保全物流中心B型を通すなど、「通関ソリューションも客先に提供したい」(同)。人材教育や内部統制も、若い会社ならではの取り組みを進めており、原田総経理が率先して創意工夫を凝らしている。9月には業務改善の一環でISO9001認証も取得した。メタルワンは国内の約3割のトップシェアを握り、サステック、ステンレスワンなどのコイルセンターを傘下に持つ。美達王精密金属(蘇州)の出資比率はメタルワン85%、サステック15%。工場にはサステックの生産技術が生かされ、東莞では蘇州モデルがそっくり反映される。今後華北にコイルセンターを展開する場合も蘇州がモデル工場になるし、ナショナルスタッフ育成の場としても従業名役割を担っていく。
【参考資料】
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